『アイーダ』 (伊: Aida) は、ジュゼッペ・ヴェルディが作曲し、1871年に初演された全4幕から成るオペラである。
ファラオ時代のエジプトとエチオピア、2つの国に引裂かれた男女の悲恋を描き、現代でも世界で最も人気の高いオペラのひとつである。
また第2幕第2場での「凱旋行進曲」の旋律は単独でも有名である。
アイーダの登場人物
エジプト国王(ファラオ)(バス):約45歳。威厳に満ち、堂々とした態度。
アムネリス(メゾソプラノ):エジプト王女。20歳。とても活発。性格は激情的で、感受性に富む。
アイーダ(ソプラノ):エチオピア王女で女奴隷。肌は暗く赤みがかったオリーブ色。20歳。愛情、従順さ、優しさ――これらがこの人物の主要な特質をなす。
ラダメス(テノール):軍隊の指揮官。24歳。情熱的な性格。
ラムフィス(バス):祭司長。50歳。確固とした性格。専制的で残忍。態度は威厳に満ちている。
アモナズロ(バリトン):エチオピア王であり、アイーダの父。肌は暗く赤味がかったオリーブ色。40歳。御しがたい戦士で、祖国愛にあふれている。性格は衝動的で暴力的。
使者(テノール)
巫女の長(ソプラノ)
合唱
バレエ
アイーダのあらすじ
アイーダの序曲
アイーダの第1幕
アイーダの第1幕第1場 : メンフィスの王宮
エチオピア軍がエジプトに迫るとの噂が伝わっている。
祭司長ラムフィスは司令官を誰にすべきかの神託を得、若きラダメスにそれとなく暗示する。ラダメスは王女アムネリスに仕える奴隷アイーダ(実はエチオピアの王女だが、その素性は誰も知らない)と相思相愛であり、司令官となった暁には勝利を彼女に捧げたいと願う。
一方、王女アムネリスもまたラダメスに心を寄せており、直感的にアイーダが恋敵であると悟り、激しく嫉妬する。国王が一同を従え登場、使者の報告を聞いた後、ラダメスを司令官に任命する。一同はラダメスに「勝利者として帰還せよ」と叫び退場する。
アイーダは舞台に一人残り、父であるエチオピア王と恋人・ラダメスが戦わなければならない運命を嘆き、自らの死を神に願う。
アイーダの第1幕第2場 : メンフィスのウルカヌス(≒プタハ)神殿
神殿では勝利を祈願する儀式が行われ、ラダメスと祭司長ラムフィス、祭司たちの敬虔な歌声に巫女の声が唱和する。
アイーダの第2幕
アイーダの第2幕第1場 : テーベの宮殿、アムネリス王女の居室
エジプト軍勝利の一報が入り、アムネリスは豪華に着飾って祝宴の準備をしている。祖国が敗れ沈痛な面持ちのアイーダに向かってアムネリスは「エジプト軍は勝ったが、ラダメスは戦死した」と虚偽を述べて動揺させ、自分もラダメスを想っていること、王女と奴隷という身分の相違から、自分こそがラダメスを得るであろうことを宣言する。
アイーダの第2幕第2場 : テーベの凱旋門
最も有名な場面である。―ラダメスは軍勢を率いて凱旋する。彼はエチオピア人捕虜の釈放を国王に願う。捕虜の中には身分を隠したアモナズロもいたので、アイーダはつい「お父さん」と言ってしまうが、アモナズロは「国王は戦死し、いまや我々は無力」と偽りを述べ、自身の身分は発覚せずにすむ。祭司長ラムフィスはアモナズロを人質として残すことを条件に捕虜釈放に同意、国王はラダメスに娘アムネリスを与え、次代国王にも指名する。勝ち誇るアムネリス、絶望に沈むアイーダ、復讐戦を画策するアモナズロなどの歌が、エジプトの栄光を讃える大合唱と共に展開する。
アイーダの第3幕 : ナイル川の岸辺
次のエジプト軍の動きを探ろうとするアモナズロは、司令官ラダメスからそれを聞き出すようにアイーダに命じる。アイーダは迷いつつもラダメスにともにエジプトを離れることを望み、ラダメスも応じる。だが、アイーダが逃げ道を聞くので、ラダメスは最高機密であるエジプト軍の行軍経路を口にしてしまう。アモナズロは欣喜雀躍して登場、一緒にエチオピアに逃げようと勧めるが、愕然とするラダメスは自らの軽率を悔いる。そこにアムネリスと祭司長ラムフィス、祭司たちが登場、アモナズロとアイーダの父娘は逃亡するが、ラダメスは自らの意思でそこに留まり、捕縛される。
アイーダの第4幕
アイーダの第4幕第1場 : メンフィス王宮の広間
アムネリスは裁判を待つラダメスに面会する。彼女は、エチオピア軍の再起は鎮圧され、アモナズロは戦死したがアイーダは行方不明のままであると彼に告げ、ラダメスがアイーダを諦め自分の愛を受け容れてくれるなら、自分も助命に奔走しよう、とまで言うが、ラダメスはその提案を拒絶し審判の場へ向かう。アムネリスは裁判を司る祭司たちに必死に減刑を乞うが聞き入れられない。アムネリスが苦しみ悶える中、ラダメスは一切の弁明を行わず黙秘、地下牢に生き埋めの刑と決定する。
アイーダの第4幕第2場 : メンフィスのウルカヌス(≒プタハ)神殿と地下牢
舞台は上下2層に分かれ、下層は地下牢、上層は神殿。ラダメスが地下牢に入れられると、そこにはアイーダが待っている。アイーダは判決を予想してここに潜んでいたのだと言う。2人は現世の苦しみに別れを告げ、平穏に死んで行く。地上の神殿ではアムネリスがラダメスの冥福を静かに祈って、幕。
この記事へのコメントはありません。