『ナブッコ』(Nabucco)、原題『ナブコドノゾール』(Nabucodonosor)は、ジュゼッペ・ヴェルディが作曲した全4幕からなるオペラである。
ナブッコとは、日本では普通ネブカドネザルとして知られるバビロニアの王の名前である。舞台は、紀元前587年のエルサレムおよびバビロン。
ナブッコの登場人物
ナブコドノゾール王(バリトン):バビロニアの王、史実上のネブカドネザル2世。歌劇中ではナブッコと呼ばれる。
イズマエーレ(テノール):エルサレム王ゼデキヤの甥。
大司祭ザッカリーア(バス):ヘブライ人の大祭司。
王女アビガイッレ(ソプラノ):恐らくナブッコと女奴隷の間に生まれた子。ナブッコは王女中の長女として育てている。
娘フェネーナ(ソプラノ、但し声域的にはメゾソプラノも可):ナブッコとその正妻(の一人)との間に生まれた子。アビガイッレからみると妹分とされている。イズマエーレとは恋仲。
ナブッコのあらすじ
ナブッコの序曲
ナブッコの第1幕 : 「エルサレム」(Gerusalemme):ソロモン神殿の内部
バビロニア国王ナブッコと、勇猛なその王女アビガイッレに率いられたバビロニアの軍勢がエルサレムを総攻撃しようとしている。
ヘブライ人たちは周章狼狽の態だが、大祭司ザッカリーアは「当方はナブッコの娘フェネーナを人質としているので安心」と人々を静める。
その娘フェネーナとエルサレム王の甥、イズマエーレは相思相愛の仲であるが、王女アビガイッレもまたイズマエーレに想いを寄せている。王女アビガイッレは神殿を制圧し、イズマエーレに「自分の愛を受け入れれば民衆を助けよう」と取引を提案するが、イズマエーレはそれを拒絶する。
やがてナブッコ王も神殿に現れる。大司祭ザッカリーアは人質フェネーナに剣を突きつけて軍勢の退去を促すが、イズマエーレが娘フェネーナを救おうとしたためその試みは失敗する。ヘブライの民衆はイズマエーレの裏切りを非難、勝利を収めたナブッコ王は町と神殿の完全な破壊を命ずる。
ナブッコの第2幕
ナブッコの第2幕 第1場
王女アビガイッレは自分の出自の秘密を記した文書を発見、ナブッコ王は娘フェネーナに王位を譲るつもりであることを知り激しく嫉妬する。バビロニアの神官たちは「フェネーナはヘブライ人の囚人たちを解放しようとしている。自分たちはナブッコ王が死亡したとの虚報を流布するので、この隙に王位を奪ってほしい」と王女アビガイッレを焚きつける。
ナブッコの第2幕 第2場
大司祭ザッカリーアは破壊された神殿と祖国、そして人々の心の中の信仰心の復活を祈る。ヘブライ人たちはイズマエーレの裏切りを問責するが、大司祭ザッカリーアは人々に「今やフェネーナもユダヤ教に改宗した」と告げ、若い二人をかばう。
王女アビガイッレとバビロニアの神官たちが現れ、娘フェネーナから王冠を奪おうとする。そこに死んだはずのナブッコ王が登場、「自分はただの王ではない。今や神だ」と誇る。その驕慢は神の怒りに触れ、ナブッコの頭上に落雷、彼は精神錯乱状態となり、力を失う。こうして王冠は王女アビガイッレが手に入れる。
ナブッコの第3幕
ナブッコの第3幕 第1場
王女アビガイッレは今や玉座に座っている。王女アビガイッレは異教徒たちを死刑とする命令を作成、力を失ったナブッコ王に玉璽を押すように強いる。押印したナブッコ王は、改宗した実の娘フェネーナも死刑となることを知り、王女アビガイッレに取り消しを懇願するが、王女アビガイッレは、言うことを聞かない。
ナブッコの第3幕 第2場
ユーフラテス河畔で、ヘブライ人たちが祖国への想いを歌う。ここで歌われるのが有名な合唱曲「行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って」Va, pensiero, sull’ali dorateである。大司祭ザッカリーアは祖国の最終的な勝利とバビロニアの滅亡を予言、人々を勇気付けようとする。
ナブッコの第4幕
ナブッコの第4幕 第1場
監禁されているナブッコ王はエホバの神に許しを請う。遂に忠臣たちが彼を解放する。ナブッコ王は娘フェネーナを救い、王位を回復することを誓う。
ナブッコの第4幕 第2場
ヘブライ人たちがまさに処刑されようとする刹那、ナブッコ王が登場、ナブッコ王はバビロニアの神々を祀った祭壇の偶像の破壊を命ずる。偶像はひとりでに崩壊する。ナブッコ王はこれを奇蹟であるとし、エホバの神を讃え、ヘブライ人たちの釈放と祖国への帰還を宣言する。群衆はエホバ神賛美を唱和する。形勢不利であると悟ったアビガイッレ王女は服毒し、ナブッコ王と娘フェネーナに許しを乞いつつ絶命する。
大司祭ザッカリーアはナブッコを「王の中の王」と讃えて、幕。
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